装画はササキエイコさん。
旧文庫版の『誰彼』とは違うイメージで、でも往年の講談社ノベルスのような雰囲気も漂う装幀にしたい、というオーダー。同時に、枠を大きめに取り中心の正方形の中に装画を収めるという『新装版 頼子のために』のスタイルも踏襲することに。
魅力的な要素の多い作品ということもあり装幀のイメージはさまざまに検討しましたが、宇宙（銀河）、内耳、螺旋階段など、作中の重要な要素を多重的に内包する「渦」をモチーフとして、ササキエイコさんに装画を描き下ろしていただくことに。「渦」の切断／ずれ的な構図は、作品の魅力のひとつである「多重解決」のイメージにもつながります。
ともすればレトロな仕上げになりそうですが、タイトルをイラストと絡めるなどして、現代的な雰囲気も強調。講談社文庫50周年を記念する新装版ということで、帯はスペシャルな長帯仕様です。黄色が差し色となって存在感がアップ。