装画はMike dorseyさん。
伊右衛門と岩、得体の知れない大きな悪意の陥穽に落ちた二人が迎える結末とは? 究極の純愛を描いた京極夏彦版「四谷怪談」が、完全版として登場。
泉鏡花文学賞を受賞した著者の代表作の一角を、装いを新たに、また対談等を増補した完全版として刊行。装幀・本文ともにノベルスや文庫とははっきり差をつけたものにしたい、というオーダーを受け、見せ方を検討。
装幀は、まず「美醜」「悲恋」「女性像」というキーワードを設定するところから検討をスタート。写真コラージュの案なども提案しましたが、岩を印象的かつ象徴的に想起させる女性像をストレートに使う案が採用に。アメリカのタトゥー作家・Mike dorsey氏の作品をお借りしました。
デザインは、江戸の戯作本のような枠をつけたものに。実は本文は「戯作本」のイメージで、というリクエストをいただき、地紋を敷く、枠をつけるといったデザインをご提案したため、装幀にもこのイメージをフィードバックし、一冊で統一感を持たせました。
造本は、各背の上製本に。フランス装というアイディアも出ましたが、長期的な耐久性や、完全版・愛蔵版にふさわしい重厚感といった観点から、上製本の採用に軍配が上がりました。
本文の刷り色には焦げ茶を採用しました。どこか物悲しさが漂います。
ジャンル|イラスト・ミステリー・サスペンス・時代・恋愛