ジャンル|イラスト・ミステリー・サスペンス

きこえる

道尾秀介 (講談社)

装画は調さん。

被害者の最期の曲に残った謎の声、盗聴した部屋で起きた衝撃の事件、古いカセットテープに残された両親の声……。
「読んで、聞く」ことで真相が浮かび上がる、新しい形の体験型ミステリー。小説の新しい可能性がここに。

作中に登場するQRコードを読み込むことで、新しい小説の形を味わえる体験型小説。カバーにも、本作の特徴となるQRコードを登場させることとし、見せ方を検討。実際に何パターンかラフを作成したうえで、なにかを聞こうとしている女性の顔のアップにQRコードを重ねる形の装画とすることを決め、調さんに作画をご依頼。
流通上の問題で実際には読み込めないことが絶対条件となるので、コードは端から崩壊している形で描いていただくことに。人物像をカバーから袖にまたがる形で配置したことで、読者はどこか不穏な余韻を感じながら本を開くことになります。とは言え、あまりホラーっぽく見えすぎないよう意識してデザインを進めました。
落ち着いたトーンのカバーとは一転、帯にはあえて華やかな色味を何色か使って、店頭効果を狙っています。シンプルなテキストで端正なレイアウトが、すっと目に飛び込んできます。
本文フォーマットの作成も担当。絶対にQRコードを読み取ってもらいたい作品なので、どうすればそのように誘導できるかなど、検討と工夫を重ねました。