ジャンル|写真/コラージュ・ホラー

怪談遺産

平山夢明 (竹書房)

八雲や鏡花のような当時の実話怪談が今に語られるように、次世代に遺したいというコンセプトを根底に書かれた実話怪談。基本は現代の話なのですが、現代的でモダンな印象と「遺産」という古いイメージをどうにか装幀で融合して見せられないか考え尽くしました。
幽霊画を仄かに、しかし確かな存在感を持って使用。手の写真を入れることで生々しさが出て、現代の作品だということが一目瞭然に。手には、実話怪談の持つ「見て」「聞いて」「感じて」「話す」という五感に纏わりつくイメージを仮託しました。
タイトルの書体は書道っぽいものと端正な明朝を組み合わせることで、古めかしさと新しさの両立を実現。端正で上品ながらも怪談小説らしい微かな不気味さもある、新しい装幀を実現できたとおもいます。