装画はケッソクヒデキさん。
五輪の記録映画にまつわる作品ということで、カバーにはビデオカメラを構える男を。移動するレンズの軌跡が五輪のエンブレムを描いており、ひび割れたレンズにはオリンピックのさまざまなシーンが映り込んでいます。『悪の五輪』というタイトルから連想されるダーティーな雰囲気の装画です。
「拳銃を構えているようにカメラを持っているところを見せたい」という裏テーマがあったのですが、ケッソクさんにそのことを伝えると、実際に市川崑が使っていたグリップの或るビデオカメラを探し出していただき、そちらをモチーフに今回のイラストを描いてくださいました。プロのこだわりを感じた瞬間です。
レンズをよく見せられるように、タイトルは上部に横置き。繊細ながらどこか神経質な印象もある明朝が、主人公の気質を象徴しているようにも感じられます。
ジャンル|イラスト・ミステリー・サスペンス