ジャンル|文芸・イラスト・ミステリー・サスペンス

文身

岩井圭也 (祥伝社)

装画は川端健太さん。

兄には虚構を現実にする才能が、弟には虚構を生み出す才能があった。
「最後の文士」と呼ばれた小説家が死んだ。破滅的な生き方をした父を憎み続けた娘に届いた原稿には、父と若くして自殺したはずの弟との奇妙な共謀関係が描かれていた──。

文庫では、ミステリー色を強く前面に出した装幀にしたい、というオーダー。「二人で一人の虚像を作り上げた、兄と弟の物語」という点を強く押し出す装幀を目指してビジュアルを検討し、まるで人の形をした闇の中に吸い込まれていくような印象のある川端健太さんの作品をお借りすることに。
タイトルや帯のネームには黄色を使って、モノトーンの画面から浮き上がるように。静かながらどこか狂気を湛えた一冊となりました。