ジャンル|ミステリー・サスペンス・写真/コラージュ

龍神の雨

道尾秀介 (新潮社)

どこまで行けば、自分は最悪にたどり着けるのだろう
母を失い継父と暮らす兄妹と、相次いで両親を失い継母に育てられる兄弟。兄は妹のため、人殺しの計画を立てた。弟は、兄が脅迫犯なのではないかという不安を抱える。
降り続く雨の中で交錯する、二組のきょうだいの運命は──。

『風神の手』『雷神』との同時刊行。本作は新装版。三作に内容的な繋がりはないが、「神」三部作としてアピールしていきたいので装幀でなんらかの繋がりを感じさせたい、というオーダー。
「神=運命」のような、人間が意志や努力で介入できないなにか大きなものによって人生を狂わされてしまった人が主人公であるという共通点を軸に見せ方の検討を進めました。
結果、「神=運命」を天候や自然のビジュアルで表現する案が採用に。各巻作品に関係のある絵を背景に敷き、強い文字組で見せるデザイン。「神」の一文字だけを白抜きで扱い、神々しさを演出。さらに、それぞれ本文から抜き出した文章をニスで刷り込むというギミックも採用。
シャープでシンプルながら、切れ味鋭いミステリであることを感じさせるデザインとなりました。