装画は山本由実さん。
その年、私の「赤い糸」は切れた。就職、離婚、新たな恋と早すぎるその終わり……。時代へのルサンチマンを抱きつつ流されながら生きていた男は、彼の「愚かな青春」が終わった1976年を振り返る。
主人公「僕」と彼を取り巻く登場人物たちを装画に登場させたい、というオーダー。山本さんには、作中めぐる春夏秋冬のイメージもうまく盛り込んだ、どこかノスタルジーを感じる装画を仕上げていただきました。
装幀は、文芸書らしいシンプルかつ端正な仕上げに。静かな中に、もはや戻らない時間への寂寥感が漂います。