ジャンル|ミステリー・サスペンス・グラフィック

兎は薄氷に駆ける

貴志祐介 (毎日新聞出版)

どうして警察は、真犯人を捕まえようとしないのだろう──
その青年は、親子二代にわたる冤罪事件の被害者か、復讐を企む加害者か。検察・警察のあり方を問う、社会派ミステリー。

「弱いものが強いものに立ち向かう姿」が重奏低音のように響く作品であることを意識しながら装幀を検討。薄氷をうねりをもった薄膜のようなもので表現した案が採用に。うねりは大きな波や山のようにも見え、立ちはだかるものに対峙する、という主人公のスタンスを表現しています。文字組に特徴を持たせ、タイトルのインパクトを一目で伝えられるデザインに。
全体に「氷」を意識していますが、帯やはなぎれ・スピンなどには、スパイスとして赤を採用。はっと目を惹く装幀となりました。
目次や扉など、本文付き物のレイアウトも担当。うねりのモチーフを本文中でも繰り返し、作品の世界観に統一感を与えています。